前回、人材戦略はプロ野球チームのように考えて みるとどうなるか? というテーマでお届けしました。
今回は、そのテーマに基づいて、 野村監督の例から、人材戦略に結び付けて みたいと思います。
野村監督がヤクルトに籍を置いていたとき、 チームの中心メンバーである広澤選手の言葉を紹介します。
「野村監督の基本的な考えは目に見えないもの、 形にならないものをどう捉えるかということなんです。
速い球を投げる、打球を遠くに飛ばすといった目に 見える能力は才能で限界が決まる。
どんなにがんばってもイチローみたいに ボールを捉えることはできない。
でも野球はイチローがそろえば勝てるというものでもない。
弱いチーム、才能で劣る選手が集まった チームが強いチームを倒すためになにをするか。
駆け引き、データの活用、心理を読んだ攻め、 そうした無形の力を駆使して有形の力で上回るチームに勝つ」
優秀な人材がいない、と嘆く幹部職の方は多く、 確かに仕事のミスが多かったり、
飲み込みが悪かったり、 理解力に乏しい人はいます。
そんな場合には上の広澤選手の言葉のように、 無形の力を駆使していく必要があるでしょう。
では、企業での無形の力とはいったい何なんでしょうか?
優れたアイデアでしょうか?
強く明るいビジョンでしょうか?
リーダーのカリスマ性でしょうか?
それもあることも事実ですが、 絶対ではないようです。
なくても世界的に有名かつ成功している会社はあります。
となると、なにが大事なのか?
ジムコリンズ氏が言うのはすべてではないが、
「理念・価値観・経営トップの先見性」ということが重要だそうです。
少しもとにもどって、別の選手の言葉を紹介します。
「野村監督は非常に実戦的な具体例がある。
例えば、投手が内角に投げるための条件を10カ条ぐらいスラスラあげてくれる。
強気に行かなければならないから内角に投げるといったありきたりの感情論じゃないんです。
そして、漠然とこんな打者かなと思っていた のがデータで分類して言葉で裏付けられるので、
攻め方も見えてくる。
それ以前は自己流でこんな打者だからこんな 感じというスタイルでやっていたんですが、
もう球威で通用する年齢でもなかったので、 野球を考え直す時期だった」
漠然と仕事をしている人は意外と多い。
特に営業マンには多いかもしれません。
また、あれよあれよと幹部になってしまった人にも漠然と精神論を伝えている人も多いかもしれません。
実際、どれだけ自分は仕事についてわかっているのかを棚卸し、分析をする作業は必要なのだと思います。
お読みいただきありがとうございました。